使いすぎによる膝関節周囲の痛み(1)
 
 スポーツによる使いすぎ(over use)が原因で、膝関節周囲に痛みを生じることはしばしばあります。前回に引き続き、そのような痛みの代表的な障害についてお話します。
 
膝内側の痛み

A.鵞足炎(がそくえん)図1

膝関節内側の頚骨部に働きの異なる三つの筋肉が合体し付着しているところがあります。合体した筋腱があたかも水鳥の足のように広がっていることより、 鵞足と呼ばれています。この筋肉群にはランニングなどで張力や収縮力が頻繁に加わりその付着部である鵞足部に炎症が生じ痛みを発生します。肢体全体のアライメント異常も鵞足炎を引き起こす要因になっていることもあります。
症状はランニングなどでの鵞足部の疼痛ですが、初期には圧通だけの場合もあり、本人がきづいていないこともよくあります。
予防と治療には運動前後のストレッチや運動後のアイシングが大切ですが、アライメント異常に起因する場合には足底板を用いることもあります。また物理療法として、低出力レーザーが有効です。
膝伸展機構とジャンパー膝の疼痛部位
B.平泳ぎ膝 図2

水泳の平泳ぎの選手に多く見られることより名づけられた障害です。
平泳ぎのウィップキックが原因とされ、膝内側側副靭帯に繰り返し張力が加わりその付着部に炎症が起き痛みを生じています。
発症してしまったら練習量の軽減が必要ですが、又関節のストレッチングが大切です。
分裂膝蓋骨の分裂部位
膝外側の痛み

A.腸頚靭帯炎 図3

ランニングによる障害の代表的な一つです。腸徑靭帯は骨盤から頚骨に至る長大な靭帯です。この靭帯は大腿骨外顆で、膝の伸展と屈曲により前後に移動するため機械的刺激を受け炎症が生じます。O脚傾向の人に起こりやすいのがランニングシューズや走行面など練習環境も影響します。
治療としては腸徑靭帯のストレッチングと練習後のアイシングが有効ですが、シューズや走行環境の見直しも必要です。
有痛性分裂膝蓋骨のレントゲン写真


B.膝窩筋腱炎 (しつかきんけんえん) 図4

下り坂のランニングで発生しやすい障害の一つです。 膝窩筋は膝の後方から始まり大腿骨外顆に筋腱部が付着する筋肉でこの付着部周囲に痛みが生じます。
治療としてはアイシングが有効ですが、下り坂を減らすランニングコースの変更も必要です。
ただし、いずれの痛みも、痛み出す原因がこれだけとは限りません。他の障害や、二次的に発生している可能性もありますから安易に自己診断することは危険です。
有痛性分裂膝蓋骨のレントゲン写真